メルセデスベンツBクラスのフルモデルチェンジの内容と評価
最終更新日 2021/10/9
世界最古の自動車メーカーの一つダイムラー。そのメルセデスベンツブランドのラインナップにあって、Cセグメントの5ドアハッチバック車「Bクラス」は同ブランドのエントリーモデルとしての役割を担います。
ここでは昨年末フルモデルチェンジし、2019年の6月から国内販売も始まった三代目となるBクラスについて、旧型との違いを徹底比較!その進化のポイントをご紹介していきます!
引用:https://carview.yahoo.co.jp/
目次(タップで飛べます)
Bクラスのプロフィール
新型Bクラスは兄弟車のAクラス同様、新世代プラットフォームを用い、車高やホイールベースを拡大することでユーティリティを高めたコンパクトミニバン(ベンツではコンパクトスポーツツアラーと表現)であり、その初代は2005年に発売されました。駆動方式はAクラス同様FFであったため、室内空間は広くとられ、上級モデルのCやEクラスにも迫るサイズ感でした。
2011年には二代目へモデルチェンジ。キープコンセプトながら車高を少し下げ、機械式駐車場への入庫を可能としたり、新たに4WDを追加したりと実用性の高いキャラクターをウリに好評を博しました。また、二代目モデルからは主に安全装備において、レーダーやセンサーを用いる現在に至るトレンド技術も導入が始まっています。
そして2018年末には三代目が発表されました。ボディサイズはさらに拡大されましたが、Cd値(空気抵抗係数)は先代モデルよりむしろ向上しています。また、従来から海外では販売されていたディーゼルエンジンモデルが、今回初めて国内ラインナップに加わることになりました。
それでは新型Bクラスの進化ポイントを見ていきましょう!
モデルチェンジの進化ポイント
フロントマスクは最新メルセデスルックに
まずは新旧デザインを比較してみましょう。
引用:https://response.jp/
新型Bクラスのエクステリアは、Sensual Purity(官能的な純粋さ)というメルセデスベンツの新デザイン哲学により、ラインやエッジを削減し、ふくよかで張りのある面構成による外観となっています。よく分かるのはサイドから見たデザインで、旧型はリヤドアから後方へグイッと引きあがるキャラクターラインが目立ちます。対して新型ではショルダーラインはしっかりと通るものの、そこまであざといキャラクターラインはありません。
むしろ三代目のサイドビューは、初代モデルに近いデザインを感じますが、ともあれ全体のルックは初代から三代目までキープコンセプトが続いている感じです。
そもそもBクラスは常にベースとなるAクラスの存在があります。背の低いスポーティなコンパクトハッチバックであるAに対して、Bは背を高くしてスペース効率を上げるというディメンションが必要なため、極端にコンセプトを変えられないのでしょう。
ちなみにAクラスとは全高以外は、全長・全幅・ホイールベースはもちろんトレッドや最少回転半径までほぼ同じ数値です。Bクラスのウリは当然、背の高さを生かした荷室容量と居住スペースで、特に荷室容量はAクラスよりも二割以上大きくなっています。また、後席は40:20:40の分割可倒式が採用されていて使い勝手は良好です。
引用:https://www.autocar.jp/
写真の新型のフロントマスクは、メーカーオプションのAMGラインのものですが、このマスクは最新のメルセデスデザイン言語を踏襲したもので、AクラスからCLSクーペといった上級モデルまで統一感があり”カッコいい”ベンツ顔ですよね。反面ノーマル顔は、少し地味目な印象もあります。
またリアエンドには、薄く横に長い2分割型リアコンビネーションランプが採用され、旧型に比べるとよりワイド&ローな印象を与えています。
インテリアも最新ベンツの文法で
インテリアのコンセプトは、「若々しく高い質感を感じさせるデザイン」ですが、特にコクピット周りのデザインは大幅に変わりました。Eクラスから始まった液晶ディスプレイを2枚並べたようなメーターパネルは、今や一目でベンツの運転席と分からせるデザインです。
シートに腰掛け前方を見れば、もはやどのモデルなのかを忘れるほどクラスレスな眺めであり、新型に乗り換えた人は最も感動するところかも知れません。ここだけは旧型が正に一世代昔のモデルに感じられます。
新型のインテリアは基本的にベースとなったAクラスを踏襲していますが、助手席側のダッシュボードが少しくぼんだ形状になるなど若干の違いがあります。旧型から定評のあった大人4人が快適に過ごすことができる広い室内空間は、前席の室内幅とフロントのヘッドルームが拡大されており、さらに快適性が向上しました。
オプションで選択する必要はありますが、夜間ドライブの室内をLED間接照明で演出するアンビエントライトは、従来12色であったカラーバリエーションが5倍となる64色になっています。逆に海外仕様ではオプションですが、日本国内販売モデルではQi規格対応機種のスマートフォンを無線充電できる「ワイヤレスチャージング」が全車標準装備となっています。
もちろん話題の「ハイ!メルセデス」でAIが起動する自然対話式音声認識機能MBUXも搭載されています。Bクラスに限ったことではありませんが、このMBUX(メルセデスベンツ ユーザーエクスペリエンス)は新世代メルセデスを印象付ける装備であり、これまであったボイスコマンドとはレベルが違います。具体的には、音声認識に自然言語認識機能を搭載していて車両操作関連の自然な言語を認識、理解してくれます。例えばエアコンの温度を下げる場合、「温度24度」という指示ではなく「暑い」と言えば温度を下げる方へ反応してくれるわけです。
引用:https://gazoo.com/
AIなので当然学習能力も備えており、クラウド上のソフトウェアモデルによって流行語を覚えたり、定時に電話連絡するようなドライバーさんに対しては、その時刻になると相手の電話番号がおすすめとしてディスプレイへ表示されたりもします。
もうナイトライダーの世界ですね!(古!!)
最新レーダー技術で最高水準の安全性を
昔から「安全性はメルセデスの基本」と言われるほど、ベンツ各車は高い安全装備を誇ってきました。旧型においても追突を回避または被害軽減を効果的にサポートする自動緊急ブレーキや、長時間走行時にドライバーの疲労や眠気を検知して注意を促すアテンションアシストなどが標準装備でした。
またオプションでしたが、車間距離を適切に維持しながら、先行車が停止した場合は減速して停止する渋滞追従機能を備えたディストロニック・プラスや、ドアミラーの死角範囲をレーダーによってモニターして危険性を警告するブラインドスポットアシストなども「レーダーセーフティパッケージ」として設定されていました。
新型ではそれらADAS(先進運転支援システム)が、高度化されたステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーの働きで、周囲の交通状況をより的確に把握できるようになり、機能が大きく強化されました。
例えば国産車でいうACC(オートクルーズコントロール)にあたるディストロニック・プラスは、停車後に先行車が再び動き出したとき、自動で再発進して追従していく機能を備えたアクティブディスタンスアシスト・ディストロニックに進化。ブラインドスポットアシストには、停車時後方から接近するクルマに気づかずドアを開けようとすると、インジケーターと音で警告してくれる降車時警告機能が付きました。さらに自動ブレーキアシストは、新たに歩行者の飛び出しを検知する仕様となっています。
残念ながら新型でもメーカーオプションとして選択する必要は残るものの、同じ「レーダーセーフティパッケージ」という名称でも、その中身は大幅にアップデートされています。
正直、ここは頑張って全車標準を謳って欲しかったところですが、それでもSクラスと同等の安全性能をどのカテゴリーのクルマであっても手に入れることができるのは、安全性のメルセデスの面目躍如といったところでしょう。
Bとして初めてのクリーンディーゼル搭載
新型のエンジンタイプは2種類で、B180は1.4ℓガソリンターボエンジンを搭載。B200dは2.0ℓディーゼルターボエンジンとなります。
ガソリン車は旧型が1.6ℓと2.0ℓ、二種類のターボエンジンを用意していましたが新型ではダウンサイジング。しかし1.6ℓの方と比べた場合には、新型の1.4ℓはトルクで同スペック、さらに馬力では上回る出力を発揮しています。2.0ℓガソリンのスペックには及びませんが、そちらをカバーするのは、新型ではディーゼルエンジンモデルでしょう。
そのディーゼルエンジンですが、冒頭にも書いたとおりBクラスとしては初搭載で、先にデビューしているAクラスと同じユニットになります。
このディーゼルエンジンは、4種の排ガス後処理システムを備えていて、特に排ガス規制の厳しい欧州で2020年に適用されるユーロ6dNORMをクリアした非常にコストが掛かったエンジンです。海外はもちろん日本でも同ジャンルで最大のライバルとして目されるBMW2シリーズは、ディーゼルエンジンが売れセンとなっているため、ようやくメルセデスベンツも同じ土俵で勝負できることになりそうです。
また、ディーゼルエンジン車のB200dは、8速ATと組み合わされていて燃費の面でも有利なはず。はず、、、としたのはB200dが10月以降の発売であり、9月現在ではまだカタログ燃費値がオープンになっていないためです(1.4ℓガソリン車は15km/ℓ)。
ちなみに欧州モードで計算すると約23.8km/ℓとなるので、十分満足できる数値が期待できます。ガソリン車に比べて車両本体価格は上がりますが、ディーゼルなら燃料費は安く上がります。特に1.4ℓガソリン車はハイオク仕様ですからね。
エンジンのトピックですが、今月ドイツ・フランクフルトモーターショー2019にて、Bクラスのプラグインハイブリッド車(PHV)、B250eが公開されました。PHVパワートレインは、エンジンが1.3ℓ直4ガソリンターボで、最大出力160馬力、最大トルク25.5kgm。モーターは最大出力102馬力、最大トルク30.6kgmとなっています。合わせて218馬力のパワーと45.9kgmのトルクはコンパクトクラスとしては驚異的です。
引用:https://www.carscoops.com/
加えて燃費も欧州複合モードでは71.4km/ℓですから、価格が驚異的とならなければPHV待ち??
気になる価格はどうなったか
新型Bクラスの価格は以下のとおりとなっています。
前述のとおりローンチモデルなこともあり、まだグレード展開は相当にシンプルな構成になっています。
旧型は2015年のマイチェン直後の価格設定を使い、近いグレード同士を比較してみた場合、新型はベースグレードでは価格が上昇していますが、安全装備の充実や刷新されたインフォメントシステムの価値を考えれば、価格差は相当といった評価でしょうか。
ディーゼルモデルは旧型には設定がないため比較は難しいですが、エンジンの項でも解説したとおり非常にコストの掛かっているユニットであり、現在のスタートプライスはけっして高くはない印象です。同じ2.0ℓの旧型B250と比べて新型B200dを安く感じるのはB250が4WDモデルであることも一因です。但し、一方でB200dは10月以降の発売のため消費税が10%で計算されていることを考えれば、ホントにお買い得なのかも知れません。
引用:https://news.mixi.jp/
もっとも新型は実際に購入しようとすると、メーカーオプションで魅力あふれる装備が揃うため、すこーし(かなり?)上乗せを考えておいた方がいいでしょう。
クルドラでは新型Bクラスのオプションについては、以下の別ページで詳しく解説しています。
メルセデスの全包囲網は止まらない
それにしても最近の”小ベンツ“の充実ぶりは、ハンパないですよね。昨年のAクラスのフルモデルチェンジに始まり、今年6月にはご紹介してきたBクラス。
翌7月にはAクラス初のセダンを投入したかと思えば、そのまた翌8月にはコンパクト4ドアクーペ&ステーションワゴンのCLAを発売したわけです。
もちろんそれ以外にもコンパクトSUVのGLAだってあります。ここまでコンパクトモデル商品群を拡充させているのはなぜか?
それは例え業界老舗のダイムラーメルセデスであっても、これからのクルマ産業の行く末には不透明さを感じていることの現れでしょうか。
日本では顕著ですが、若者のクルマ離れが続く中、取り込めるものは全て取り込み顧客を囲い込むには、その入り口となるコンパクトカーの充実は必須の戦略だと思われます。
なりふり構わずといった姿勢さえ感じさせるドイツの巨人。恐るべしです。
引用:https://www.webcartop.jp/
以上、Bクラスの2019年フルモデルチェンジをご紹介しました。
この記事を見てくれた人には新車購入時に絶対損をしてほしくないので、どうやって騙されずに値引き交渉すればよいのか、次の記事でチェックしてみてください。
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