スズキハスラーのフルモデルチェンジの内容と評価
最終更新日 2021/10/9
日本車で最も元気のある市場といえば、軽自動車マーケットでしょう。2019年も普通車を寄せ付けない販売実績となりました。
軽市場が拡大を続ける要因としては、日本の道路事情に適した車体寸法に今や普通車と遜色ない安全装備を備えていること。もちろんお求めやすい価格など要素はいくつもありますが、豊富なバリエーションもその一つでしょう。
引用:https://response.jp/
世界的なSUVブームの中、軽自動車においてのクロスオーバーSUVジャンルへ切り込んだのがスズキハスラーです。今回のクルドラでは、2020年に新型が発売となったハスラーについて、先代モデルから進化のポイントを詳しく見ていきたいと思います!
目次(タップで飛べます)
ハスラーについておさらい
スズキKeiからハスラーへ
ハスラーの前身は2009年に生産を終えたKeiと言われています。ハイト系とされる現在の軽よりもやや低目のボディに径の大きいタイヤを履かせたそのスタイルは、正にクロスオーバー風。10年以上も生産が続いたこのKeiは、ニッチなマーケットを獲得しており、その後継機種を望む声にスズキが応えたのが2013年に発表された初代ハスラーでした。
世はミニバンからSUVへ人気が流れ始めた頃であり、軽では未開拓のジャンルだったことも幸いし、初代ハスラーは瞬く間に大人気モデルへと成長しました。
引用:http://www.4x4magazine.co.jp/
可愛い外観でも中身は本格派
丸目ライトの愛嬌のあるルックスに惹かれますが、SUVらしく最低地上高やアプローチ・デパーチャーアングルはしっかり確保。メカニズム的にも急な下り坂で、車両のコントロールが難しい時、ブレーキ操作せずに一定の速度で降坂できるヒルディセントコントロールと、滑りやすい路面での発車時にスムーズな発進ができるグリップコントロールを軽自動車で初めて採用するなど多くのトピックがありました。
今回、新型となった2代目ハスラーは、一見キープコンセプトなモデルチェンジに映りますが、大ヒットモデルの後を受け、いかにこれまで以上の付加価値や楽しさを提供できるかを命題とし開発されたのです。
似て非なる新たなアウトドアスタイル
引用:https://www.webcg.net/
新型ハスラーは軽量と高剛性を両立させた新世代プラットフォームHEARTECT(ハーテクト)、環状骨格構造などを採用しボディ全体の剛性を高めてきました。
その骨格をベースとして構築されるエクステリアは、アイコンである特徴的なヘッドライトやグリル周りが同意匠のため、確かに「ハスラー」にしか見えないデザインです。
新旧モデルを比較してみると
ただ実際は下記の写真のとおり並べてみると、やや丸みを感じさせる初代に比べて、新型はよりボクシーなフォルムなのが分かります。
特に違いを感じるのは、新型がクォーターウィンドを設けて6ライトキャビンとし、その各ピラーをボディ同色として上下方向の力感が増している点。前端をやや引き上げ、水平基調を強めたボンネット、垂直近くに起こしたテールゲートなどからもそれが伺えます。
細かいディテールにも変化が
また、一見変わっていないように見えるヘッドライトも、3分割のリング状ポジションランプとなり、初代のC字型に比べると光源付近の光りムラがなくなり質感が上がっています。さらに中央のプロジェクターレンズ周囲を黒くし、消灯時でもポジションランプのリングが目立つように工夫されています。
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遊び心を感じさせるのはリヤのコンビランプが点灯するとハスラーの頭文字“H“に光るところでしょうか。ちなみに車名エンブレムも”H“でデザインされているのは、初代から継承されています。
ボディカラーはハスラーのセールスポイント
初代ハスラーは2014年度のグッドデザイン賞を受賞していますが、軽自動車として初めてオートカラーアウォード2015グランプリも受賞しています。
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その時に受賞対象となったのはオレンジ×白ルーフ、水色×白ルーフ、ピンク×白ルーフのツートーン3色。
それだけに新型でもツートーンカラーへの拘りは強く、新色2色を含む11色展開のうち、半分以上の6色がツートーン設定になっています。当然、ツートーン仕様はオプション料金が掛かるわけですが、ハスラーなら皆さんツートーンを選択するはずという開発者の自信が伺えます。
新型のボディカラーは11色
ツートーンの塗り分けにも拘りが
確かにハスラーのツートーン仕様は、今回の新型ではデザイン上のトピックとなっていて、初代が単純にルーフ部分のみ塗り分けていたのに対し、新型ではオフローダーの樹脂製ハードトップを想起させる塗り分けを実施しています。
上記の新旧比較写真でも分かる通り、これだけでもSUV度がけっこう引き上がるよう感じます。
インテリアは大胆なイメージチェンジ!
ある種エクステリアよりも遥かに「変わった!!」「新しい!!」と実感できるのはコクピットのデザインです。
引用:https://car.watch.impress.co.jp/
先代ハスラーのコクピットはボディカラーごとにオレンジやイエローといったカラーパネルが装備され、外観同様に可愛い雰囲気を感じさせるものでしたが、新型ではアクセントカラーが配される点は同様ながら造形は全く違っています。
個性的な3連フレームのモチーフは?
インパネでひと際目を引く3連のフレームですが、そのモチーフとなったのはアウトドア用のスマホや腕時計のプロテクター。そのプロテクターでメーター類やナビ画面など精密機器をガードする、と言ったコンセプトのようです。
それらフレームはボディカラーに合わせてオレンジ、ブルー、グレーの設定があり、ドア周りにも同じカラーのアクセントが入ります。
フロントシートはセパレート型に
引用:https://response.jp/
インテリアではシートタイプの変更により大きくイメージが変わっています。通常ハイト系軽ワゴンだと、フロント左右シートの幅の狭さを緩和するために、ベンチシート形状とするのが殆どで初代も同様でした。新型ではシートをキッチリとしたセパレート型とし、シート間にはカバンが置けるトレイやドリンクホルダーも装備されています。
収納やテーブルにも手抜かりなし
今ドキの軽では、特にスーパーハイト系と言われるモデルを中心に「収納」に関する拘りが強く、これでもかと言わんばかりにボックスやホルダーが用意されています。ハスラーもご多分に漏れず力が入っており、合計で18カ所!インパネだけでも3カ所のボックスティッシュを収納できるスペースがあります。
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助手席の背中テーブルは初代が前席を前に倒して使用する固定式だったのに対し、新型は折り畳み式となり後席の方が使うものへと変わりました。その分、インパネボックスのフタを開けば、その内面がテーブル状になっていて、前席の方への目配りも忘れていません。
パワートレインはマイルドハイブリッド1本で勝負
新型ハスラーの心臓部は、NA(自然吸気)エンジンとターボエンジンの2種類が用意されています。NAエンジンの方は新開発となっていて、燃焼室変更とロングストローク化によって燃費向上が図られています。一方のターボエンジンはワゴンR等に搭載されているものがキャリーオーバーされています。
引用:https://www.gqjapan.jp/
また、新型にはグレードに関わらず全車マイルドハイブリッドを搭載していて、ISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)を使って減速エネルギーの回生と加速のアシストを行います。
当然コスト的には跳ね返ってくるところはありますが、ワゴンRでは許されない価格設定も、趣味性の高いハスラーなら受け入れられるとの判断があったようです。
運転支援システムはスズキ”初”多め!
運転支援のスズキセーフティサポートでは、従来同様ステレオカメラ方式を採用していますが、その基本となるカメラユニットが今回新設計となりました。
ステレオカメラの性能アップで安全性向上
新カメラユニットは筐体が小型化され、重量が前ユニットの半分にまで軽量化。その恩恵でこれまでは車内のルーフ部へボルト留めされていたユニットが、フロントガラスへの接着方式に変わりました。これによりドライバーからはユニットがルームミラーに隠れる格好で、殆ど気にならなくなっています。
機能面でもカメラの感度が向上し、衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」が夜間の歩行者も検知できるようになりました。また、後退時の衝突被害軽減ブレーキ「後退時ブレーキサポート」も標準装備され、前後の安全性能を高めています。
新システムを惜しみなく投入
その他では、オートマチックハイビームと標識認識機能も追加されました。特に後者は車両侵入禁止標識を無視した走行をした場合、ディスプレイを点滅して知らせる機能もあり、スズキの中で初搭載になります。
スズキ初としてはもう一つ、ターボ車での装備となりますが、クルーズコントロールが完全停止まで対応する全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)に進化しました。加えて、車線逸脱抑制機能も従来の警告式からステアリング介入式となります。
残念なのはこの二つの装備はターボ車にしか設定がないことで、メーカーとしては「ターボ車ユーザーは遠出の機会が多い」というリサーチに基づいてのようですが、ホンダではノンターボ車にも設定があり、後発としては全車標準としてもらいたかったですね。
メーカーオプションとして初の9インチナビ
引用:https://www.webcg.net/
スズキ車ではスペーシア系のモデルにディーラーオプションで9インチナビの設定はありますが、メーカーオプションとしての9インチナビは新型ハスラーが初となります。
前述した個性的なインパネの中央部のフレームにキッチリと納まるオプションとなり、フィット感は純正ならでは。9インチのディスプレイは従来の7インチと比較して画素数は3倍!高精細な上、表示できる色数も増えコントラストも向上しています。機能面ではスマホ連携のApple CarplayやAndroid Auto等ミラーリング機能も搭載しました。
引用:https://www.autocar.jp/
また、9インチナビとセットオプションになっているクルマの周囲360度を表示する「全方位モニター」も進化していて、アナログ方式からデジタル方式にアップデートしています。
気になる価格はどうなった?
デビューしたばかりの新型ハスラーのグレード設定はシンプルです。標準車の”G“と上級版の”X“、どちらのグレードでもNAエンジンかターボエンジンが選択でき、同様にFFか4WDかも選べます。トランスミッションはCVTのみとなります。
気になる価格については、下記のとおりです。
初代モデルと比べるとグレード構成が少し変わり、先代にあった廉価グレードの”A“が廃止になり、同様に5速マニュアル車の設定も無くなっています。
価格アップながらリーズナブルな範囲
先代の”G“と新型の”G“が同グレード、先代の”J“と新型の”X“が同グレードと考えられますので、そこの価格を比較すると当然新型の価格は上がっていますが、その差は5,500~24,200円の範囲内。グレードにより装備差があるのでバラ付きがありますが、前述の通り新型のスペックアップを考えれば適正か、もしくはお買い得という評価もできると思われます。
引用:https://driver-box.yaesu-net.co.jp/
4WDも費用対効果高し!
4WDが134,200円高とやや高い印象もありますが、ハスラーの4WDには初代モデルから引き継ぐ、ぬかるみや滑りやすい路面で発進をサポートする「グリップコントロール」、急な下り坂で車速を約7km/hで維持する「ヒルディセントコントロール」が備わり、新型はそこへ雪道やアイスバーンでのスムーズな発進をサポートする「スノーモード」を新たに採用しています。
軽自動車にありがちな生活四駆より、圧倒的に高い4WD性能が装備されています。
軽SUVのライバル対決はこれから
いかがでしょうか。
さすがに軽自動車の雄スズキの最新モデルだけに、全方位で充実した進化が感じられます。初代が一代で築いたブランドを2代目はさらに盤石なものへとしていくでしょう。
引用:https://motor-fan.jp/
もちろんライバルも軽SUVという”おいしい市場”を独占させるはずもなく、東京オートサロン2020ではダイハツが「タフトコンセプト」を出品。どこをどう見てもハスラーへの対抗馬として生み出されたのは明白で、今後ガチンコの販売合戦が繰り広げられるでしょう。
クルマ好きには興味が尽きないところですね。
引用:https://www.autocar.jp/
以上、スズキハスラーのフルモデルチェンジをご紹介しました。
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