廃車と売却ならどちらがいいのか?
車というものは、日常生活の移動のために必ず必要なものになってきています。かつての1家に1台から、最早1人1台へと変わっていて、住宅を見ても、駐車場のスペースが3~4台分も土地を取っていることも多いようです。
しかし、車が必要になることがある以上、不要になることもあると思います。家族が県外に出て不要になったり、故障の修理代が高すぎて修理を諦めたり、また不運にも事故に遭遇し、車の修理が不可能になったり、都心などの交通網が発達した場所への転勤や異動などで車を乗る機会がなくなってしまったり。車を持っている以上、車検の満了日も近づいてきますし、春になれば自動車税もかかるようになります。もしものために任意保険もかけておく必要もあります。そう、車は所持しているだけでお金がかかるものなのです。
そういった費用をかからなくするために、車を処分するという方法があります。この場合、車を「廃車をする」か、車を「売却をする」という選択肢があります。
目次
車の廃車をする
廃車とは、一時的、または永久的に車にもう乗りませんよと、運輸支局(以前の陸運支局)に申告することです。その方法としては、一時抹消登録と永久抹消登録があり、今後の状況によって使い分ける必要があります。
一時抹消登録について
一時抹消とは、一時的に車のナンバープレートを返却し、車が公道を走れないようにする廃車方法です。逆にいうと、また車が必要な時には、再びナンバーが取得でき、公道を走ることができるようになります。買取店などに車を売却した時には、ほとんど一時抹消の状態にされると思います。それにより、自動車税の支払いの義務からは逃れることができます。またもし一時抹消にした月が10月であれば、11月分以降の月割の自動車税が、後々県税事務所より還付されます。
一時抹消登録の手続きの方法
手続きの場所
手続きができる場所は、各都道府県の管轄地域の運輸支局です。都道府県によっては、複数箇所にわかれていますので、確認が必要です。また軽自動車に関しては、各都道府県の軽自動車検査協会にて手続きが可能です。
必要なもの
車検証の所有者の印鑑証明と実印が必要になります。印鑑証明などの公的書類は、有効期限が3か月しかありませんで、ご注意ください。その他、車検証の原本、ナンバープレートも前後2枚必ず必要です。また所有者でない代理人が手続きをする場合は、家族であっても必ず所有者の実印が押印された委任状が必要になります。そして車検証の住所が、現在の住所と異なる場合も、繋がりのわかる書類である住民票か戸籍の附票が必要です。
手続きの方法
各運輸支局の窓口で、実印などを押す申請書(OCRシート第3号様式の2)と手数料納付書を購入し、それに別途窓口で購入の収入印紙350円を貼り付けます。そして必要事項をボールペンで記入していきます。難しいイメージがありますが、運転免許証の更新や取得の時のように、流れは窓口の方が親切に教えてくれます。その流れでナンバープレートを返却し、必要書類を窓口に提出すれば、一時抹消登録証明書が発行されます。軽自動車の場合は自動車検査証返納証明書です。これらが発行されれば、いわゆる廃車の手続きは完了です。
永久抹消登録について
一時抹消があくまで一時的な廃車手続きなのに対し、永久抹消登録は文字通り、その車台番号の車自体を二度と乗れないようにする廃車手続きです。一時抹消同様、自動車税を今後支払わなくて良くなり、月によって県税事務所より自動車税の還付があり、その車の車検がまだ1か月以上残っている状態であれば、自動車重量税や自賠責保険料の還付もあります。これは日本の車検制度が、車検の際、次の有効期間までの自賠責保険料と自動車重量税を必ず先払いする必要があるからですね。ですから永久抹消をして残っている月の分は請求をすれば戻ってくるというわけです。
ただし、いいことばかりではありません。永久抹消登録をするためには、車を先に解体業者に引き渡し、解体証明書を得なければならないのです。そしてそれは実際に解体されなければ、業者から発行されないために、かなりの時間がかかります。場合によっては、数か月かかることもあるそうです。ですので、自分の車をよっぽど他の誰かに使わせたくない場合以外は一時抹消が良さそうですね。解体が無事終われば、解体業者から、永久抹消登録の手続きに必要な、移動報告番号と解体報告記録日が通知されます。
永久抹消登録の手続きの方法
手続きの場所
手続きができる場所は、一時抹消同様、各都道府県の管轄地域の運輸支局です。都道府県によっては、複数箇所にわかれていますので、確認が必要です。また軽自動車に関しては、各都道府県の軽自動車検査協会にて手続きが可能です。
必要なもの
車検証の所有者の印鑑証明と実印が必要になります。印鑑証明などの公的書類は、有効期限が3か月しかありませんで、ご注意ください。その他、車検証の原本、ナンバープレートも前後2枚必ず必要です。また所有者でない代理人が手続きをする場合は、家族であっても必ず所有者の実印が押印された委任状が必要になります。そして車検証の住所が、現在の住所と異なる場合も、繋がりのわかる書類である住民票か戸籍の附票が必要です。この部分は一時抹消と同様です。
手続きの方法
各運輸支局の窓口で、実印などを押す申請書(OCRシート第3号様式の3)と手数料納付書を購入します。申請書代は約100円です。その申請書に実印を押し、解体に係わる移動報告番号、解体報告記録日を記載します。後は一時抹消と同様に、ナンバープレートを2枚返却し、必要書類を窓口に提出すれば、永久抹消登録が完了です。一時抹消と大きく異なるのは、永久抹消の場合、それを証明する書類は何も出ません。
また同時に自動車重量税の還付手続きもできます。印鑑や身分証、振込先の口座などがあれば、申請ができます。
これらの書類書きが面倒に思われる場合は、代書やさんなどに依頼すれば、1000円から3000円程度でしてくれたりもします。
廃車にかかる費用について
車を乗り始めるためにも名義変更費用などがかかりますが、車を廃車するためにも、やはり廃車の費用が必要になります。一時抹消登録の場合は、抹消登録費用(申請書代や印紙代)が必要になり、永久抹消の場合は、抹消登録費用(申請書代)と自動車リサイクル料金、解体費用などが必要になってきます。
抹消登録費用をまとめると以下の通りです。
一時抹消登録……申請書代約100円+収入印紙代350円
永久抹消登録……申請書代約100円
なお、自動車リサイクル料金につきましては、平成17年に施工された自動車リサイクル法により、支払いが完了していなければ廃車の手続きは出来ないようになっています。
ただ自動車リサイクル料金は、車の新規取得時や、平成17年以降の車検時に、それを支払わなければ車検を継続して受けられなくなっていますので、現在未払いの方はほぼいないと思います。そしてその証明として、車検証入れにリサイクル券が載っていると思います。
永久抹消時、解体業者が解体するのにリサイクル券が必要になります。リサイクル券が見つからないという人もいらっしゃると思います。特に、知人から譲ってもらった人などは、前の所有者がそのまま捨ててしまっている可能性があります。
そんな方でも、自動車リサイクルシステムの公式サイトから、現在の自動車リサイクル料金の預託状況やリサイクル券の番号、その内訳を確認できます。必要であれば、そのページを印刷すれば、支払い済みの証明にもなりますので、原本の代わりとして使えるのです。
『自動車リサイクル料金の預託状況と番号』の確認はこちらから
⇒自動車リサイクルシステム公式サイト「自動車ユーザー向け」
自動車リサイクル法についてはこちら
⇒自動車リサイクル法とは
解体費用
永久抹消の際、車の解体業者に支払わなければならない費用ではありますが、自動車リサイクル法が施工された現在、すでに支払い済みの場合は、改めて解体費用を準備する必要はありません。
基本的には解体費用は不要なのですが、あくまでその解体業者に自走して車を持ち運べた場合なのです。ナンバーがなかったり車検が切れていたりした場合は、引き取り業者などに陸送などの依頼をしなければなりません。そしてその費用は当然自己負担です。ただ、車というものは、その大部分が鉄などの価値のある金属でできているために、業者によっては、鉄の金額として、数千円から数万円頂ける場合もありますので、業者に確認をしてみてください。ただし鉄は金や銀のようにたえず相場が動いていますので、その時々や車の大きさによっても金額が変わってきます。ご注意を。
廃車手続きは代行できる?
車を購入する時にも書類が色々と必要だったり、記入が必要だったりするように、車の廃車にも面倒な手続きが必要です。そしてその手続きの場所である運輸支局や軽自動車検査協会は、平日の8時45分から、午後16時までしか申請を受け付けていないところがほとんどです。さらにお昼休みの時間帯は基本的に受け付けていません。ですので、平日仕事をされている方には、ほぼ不可能だといえます。
自分で手続きに行けない場合、それを代行できるところがありますのでご安心ください。
自動車ディーラー
自動車ディーラーは普段から自分のところで、下取りの車などを廃車手続きをしていたりします。ですので、廃車の依頼をすれば、書類上の手続きから車の解体の依頼まで、全てを代行してくれたりします。もちろん、印鑑証明や実印などの準備は必要ですが、これらは土日でも機械で取得できますので、問題はないと思います。費用としては全てをお願いできる分、お高くはなりますが、平日身動きが取れない人にとっては、手間が省ける方法といえるでしょう。廃車の代行費用の目安は、大体10000円から80000円ほどです。
行政書士
書類のプロといえば行政書士です。運輸支局の近くにも、多くの行政書士事務所が並んでいるので、近くまで寄ることがあれば相談してみるのも良いでしょう。費用としては、3000円から10000円前後で行ってくれますが、仮に永久抹消の場合、先に必要な車の解体などは、ご自身で行わなければなりませんのでご注意ください。
車を売却で処分する。
車を売却で処分
不要になった車を処分しようとする時、廃車にするのではなく、新車ディーラーなどに下取りとして買い取ってもらったり、中古車買取業者に売却したり、個人売買をしたりなど色々な方法があります。
個人売買では、相手が知人であるならまだしも、見ず知らずの人に売却するので、最後まで取引が無事終わるか心配ですし、後から車が故障したからお金を払って欲しいなど言われかねません。また新車のディーラーの下取りにしても、下取り車査定料や色々な費用が取られ、実質の下取り金額は思ったよりも低い場合があります。その分買取業者であれば、それ以外に手数料がとられることはありませんし、決まった額しか振り込まれません。色々な手続きもディーラー同様間違いなく行ってくれるので安心です。そして何より車が高く売れることが多いですので、もし不要な車がある場合には、買取業者に依頼してみましょう。
ここで心配になるのは、売却しようとした車が、事故車であったり、廃車をするしかないような古い車だったりした場合ですが、その辺りは全く問題ないといっても良いかもしれません。ほとんどの買取業者が喜んで買い取ってくれることでしょう。場合によっては、古い車でも結構な金額がつくこともあるようです。廃車にするくらいなら、逆にお金を出して、買い取ってもらえる買取業者に依頼しましょう。
ただどの買取業者に依頼したら良いのか、どこだったら高く買い取ってくれるのか、自分の足で調べてまわるのは、かなり根気がいります。そんな時は、インターネットを利用して、無料で行える「中古車一括査定サイト」の出番です。