ハリアーのフルモデルチェンジ概要とチェックすべきポイントは?
最終更新日 2021/9/17
今や大人気ジャンルのSUVですが間口は広く、ヘビーデューティなクロカン四駆からコンパクトカーや最近では軽自動車にも展開されるクロスオーバーモデルまで多種多様な車種が揃います。
本稿の主役トヨタハリアーは、その中でも都市型プレミアムSUVのパイオニア的存在です。もともと初代モデルはトヨタの高級車ブランドレクサスで取り扱われるSUVでスタートしていますから、その成り立ちも納得です。
コロナ禍による緊急事態宣言も解除され、ようやく6月17日に正式な発表・発売となった4代目ハリアーですが、その出足はかなり好調のようでボディカラーやグレード、装備によっては既にかなり長めのウェイティングリストが出来ています。
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今回のクルドラでは、SUVラインナップの拡充を進めるトヨタの最新作「ハリアー」のモデルチェンジにおける進化のポイントをご紹介していきます!
目次(タップで飛べます)
ハリアーのプロフィール
初代ハリアーが発売となったのは23年前の1997年なので、現行トヨタSUVラインの中では、レクサス系モデルを含めても最古参の部類です(ランクルやハイラックス等クロカン系除く)。
ハリアーの経歴の中では先代にあたる3代目が少し変わっていて、国内専用モデルになっていました。初代と2代目は”レクサスRX”として海外でも販売されており、3代目RXの登場時点では国内のレクサス網の展開が済んでいたことで、日本でもRXとして扱われることに。もっともハリアー人気も根強く、2009年にレクサスRXが発売された以降も、2013年まで2代目ハリアーはトヨペット店で併売されていました。
そして2代目ハリアーの後を受け、レクサスRXとは切り離した格好で2013年に3代目ハリアーが国内専用モデルとして発売となったのです(但し、モデル後期には東南アジア方面への輸出実績もあり)。
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外連味(けれんみ)あるエクステリア、およびインテリアの高級感に加え、高い質感を考えれば「むしろ安い!」と言える巧妙な価格設定もあり、3代目ハリアーも引き続き好調なセールスを維持します。何とモデルチェンジ直前にも関わらず月に約2000台を登録するほどでした。
都合7年間販売された3代目に代わり、いよいよ今月4代目が登場しました。では早速、新型ハリアー進化のポイントを見ていきましょう。
モデルチェンジの進化のポイント
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新型の開発ポイントは「スタイリッシュかつ逞しいシルエット」「心地よい室内空間と充実の先進装備」「優雅な乗り心地と静粛性」の三点。人気モデルのフルモデルチェンジは難しいものですが、4代目は従来のSUVとは違った価値観を提供する方向で開発され、これまでよりさらにクーペライクなフォルムが際立つスペシャリティSUVへと進化しました。
これまでと違う価値観とは、これまでのSUVの大きなポイントであるユーティリティ部分の考え方。具体的にはラゲージスペースの容量や室内高は、少々犠牲になってもシャープでクールなエクステリアを構築することでした。
ポイント① エクテリアはカッコ良さを最優先!
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3代目も相当にデザインに振ったエクステリアでしたが、新型のスリーサイズを見ると全高を30mm下げ、全幅は20mm広がっています。ホイールベースとトレッドも拡大しているので、余計に低さが際立ちます。そして前述の通り、ラゲージ容量を気にせず大胆に絞り込んだリアゲート周りの処理、キャラクターラインを入れずに面の抑揚、光の加減で豊かな表情を描くフェンダーやドアパネル。
また、相当に深くえぐったような形状のバックドアなどからも、あくまでカッコ良さが最優先されたのがわかります。
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デザイン部門と生産部門のコラボで実現
開発者コメントでは、デザイン企画において当初から生産技術部門や工場のメンバーを参画させ、デザインチームと一緒になって生産可能性も含め検討を進めたとのこと。いかに4代目がデザインありきで開発されてきたのかが伺えます。また新型はTNGAプラットフォーム(GA-K)を採用しているため、デザインの自由度を高める余裕もできたのでしょう。
ここまで割り切れたデザインにできたのは、同じプラットフォームを持つRAV4の存在があるに違いありません。RAV4は三つの4WDシステムを奢り、如何にもオフロード走行に向いたタフなルックスを持つSUVで、一方にこのモデルがあればこそ同じプラットフォームのハリアーは大きく”キャラ変“できたのでしょう。
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実際、3代目ハリアーの販売期間には、一旦RAV4が国内カタログモデルから消えていて、今とは事情が違っていました(そのRAV4のポジションをカバーする役割も3代目ハリアーにはあったわけですが)。
エクステリアのディテールチェック!
各部のディテールを見ると、ヘッドライト内のウインカーは流行りの流れるタイプではありませんが、普段はデイタイムライトとして白く発光しているものが、右左折時にパッとウインカーに切り替わるギミックが面白いところ。一方のリアウインカーは通常のテールライトの位置にはなく、バンパー下部に小さく設置。ここはデザイン優先の影響なのか、位置が低すぎて実用的には少々疑問ですね。
少々疑問と言えばドアミラーに今さら”耳たぶ”(補助確認装置)が付いているのは、法規上やむを得ないのですが、デザイン性を損なっているような気も。よく見るとトップグレードには、ドアミラー内蔵のカメラによる全周モニターが付くため”耳たぶ”はありません。せめて他グレードにもオプション設定してもよかったのではと思います。
細かいところでフロントマスクは上手く先代のイメージを引き継ぎRe:デザインされていますが、鷹をモチーフにしたハリアーエンブレムが無くなり、一般的なトヨタマークに置き換えられたのは残念がるユーザーさんも多いでしょうね。
ポイント② インテリアの質感もクラスを超えた!
エクステリアの開発精神は当然にインテリアにも及び、実際の使い勝手や視認性のところでは、許容されるギリギリまでデザインを優先して作り込んでいったとのこと。
その結果としてボタン類が少し見づらいとか、ラゲージにゴルフバックが4つ入らないとか、多少のユーティリティの不便は割り切ってしまう大胆さです。
こだわりぬいた造形が上質な車内空間を実現
他方でインテリアの上質さについては、徹底したこだわりが追求され、乗馬の鞍をイメージした優雅なセンターコンソール、メタルラッチとパイピングを組み合わせた新しい加飾など、従来のハリアーと比較して新鮮に映る造形です。筆者的にはこれまでの高級車ならステッチ処理だけで済ませる場面で、さらにパイピングオーナメントを持ってきたところに新しさを感じます。
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また当然に樹脂やハードプラを用いる部品もありますが、それらスピーカーパネルやカップホルダー底面、モバイルトレーにまで”バイアスボーダー柄”となる処理を施し、質感向上させている点はさすがです。
デザイン表現のこだわりはエアコンのつまみや物理スイッチを出来るだけなくし、タッチ式の静電スイッチを使いスッキリとまとめたインパネ周りも同様です。ゴテゴテ感がないため適度に落ち着いた雰囲気を醸し、正にミドルエイジから上の大人をターゲットにしていることが分かります。
高級SUVの名に恥じない静粛性
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キャビンの基本パッケージにRAV4をベースとしていることは、インパネからセンターコンソールにかけての骨格やステアリング、シフトノブ形状からも分かりますが、RAV4との住み分けポイントの一つが静粛性の高さによる上質感なので、そのための方策も多岐に渡ります。
例えばドアガラスの板厚アップやラゲージ内デッキボード裏への吸音材貼り付け、ホイールハウス内側のライナー素材見直し、さらにフロアサイレンサー、車室内吸音材の配置など広範囲に対策が施されました。また、ドア周りの吸音とシール構造を作り込むことで、乗り込んでドアを閉めた際、スッと静かになる感触、気持ちが落ち着く空気感を重視しています。
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なお、フロントマスクから消滅したハリアーエンブレムですが、フロントドアの内張りに型押し加工された鷹のモチーフがしっかり残されています。従来のユーザーさんに対する目配せも忘れていません。
ポイント➂ ボディカラーは全7色!新色は?
最近の軽自動車やコンパクトカーは、それこそものすごい数のボディカラーバリエーションをセールスポイントとしていますが、ミドルクラス以上になるとそれなりに絞られて色数も減ってきます。
4代目ハリアーについては全7色が用意されましたが、やや少ないかなとも感じます。もっとも3代目ハリアーも後期は6色しか設定がありませんでした。その理由としてハリアーは極端にダーク系、特にブラックの人気が高く、定番でホワイトはあるにしても結局みな黒系のカラーしか選ばない傾向があるようです。とは言えリセールバリューを考えれば当然、黒か白になるでしょうし、確かにハリアーのエクステリアは黒映えするデザインですよね。
国内初登場の新色は表情豊かなグレー
さて、新型ですが基本的に先代、あるいは他モデルに採用されているカラーのキャリーオーバーが中心で、純新色としては「スレートグレーメタリック」と言うカラーが追加されています。このグレーは面の変化や見る角度により緑や青に発色するらしく、早く実物を見たくなるカラーです。
もっとも国内モデルとしては新色ですが、北米市場では既に採用実績のあるカラーです。
トヨタイチ推しは新顔料配合の特別な”黒”
ボディカラーで最も注目されるトピックは、黒系の「プレシャスブラックパール」でしょう。
既にクラウン等で採用されていますが、このブラックは二層のベース色により明暗のコントラストが味わい深く、また”セルフリストアリングコート機能”となっています。これはクリア塗装材料の樹脂に分子レベルで結合しやすい特性を与え、柔軟で弾性に富む塗膜とすることで、小さな洗車傷等を自己修復できるカラーなのです。
販売店の情報では、先行受注しているオーダーの大半がこのプレシャスブラックパールが選ばれていて、他カラーより納期も掛かっているとのこと。
なお、インテリアカラーも中間グレード以上であればブラック、ブラウン、グレーの3色から選択でき、センターコンソール等のパネル加飾やパイピングオーナメントにも、それぞれの内装に似合うカラーを個別に用意する周到ぶりです。
ポイント④ 4代目ならではの新装備は?
トヨタセーフティセンスはもちろん最新バージョンのものになっており、3代目まではなかった夜間の歩行者や自転車まで検知するプリクラッシュブレーキも装備。それ以外にもパーキングサポート付きのインテリジェントクリアランスソナーやレーントレースアシストなど充実しています。
またグレードによりますが、ハリアーにはRAV4で設定のないアダプティブハイビームまで備えます。
ドラレコ標準装備化への布石
新型ならではの注目すべき安全装備は「前後方録画機能付デジタルインナーミラー」です。
バックカメラ等を利用してその映像をルームミラーに映す”デジタルミラー”の装着車は増えてきましたが、ハリアーのそれはさらに録画機能も加わったものです。早い話しドライブレコーダーとほぼ同じ機能をミラーに持たせた格好です。特段のスイッチ操作などなく、走行が始まれば自動で録画開始、エンジンを切って終了なので使い勝手も良好。
市販のドラレコと違う点は、エンジンが始動していないときの録画機能がないことや録画の再生はSDカードを抜き出し、自宅のPC等で再生する必要があるところでしょうか。
既に市販品のドラレコで、ルームミラー型のものは多数販売されていることもあり、そう遠くない先に多くの新車にはこのミラー型のドラレコが標準装備となるのでしょう。フロントやリアのウィンドウにペタリと貼っていたドラレコを懐かしむ日が来るに違いありません。
プレミアム感MAXなガラスルーフ
安全装備以外では「調光パノラマルーフ」も注目アイテムです。今のところトップグレードにのみメーカーオプションとなりますが、こちらは天井ガラスに液晶フィルムを挟んでおり、そのフィルムに電圧を掛けて液晶の配列を変え、ガラスの透過率を可変させる機能があります。
それにより調光状態では光の”透け具合”を変えることができ、障子越しのような柔らかな光を車内へ取り込むことができます。もちろん紫外線、赤外線も90%以上カットされますし、電動開閉式のシェードも付いています。
ドイツのプレミアムブランドのクルマでは既に採用されていますが、それらよりも切り替え速度が早く、加えて音声によって操作できる点も魅力です。「空が見たい」と発すれば、シェードが自動で開き、その後ガラス面も自動で透けていくというプロセスは、もはや”ブレードランナー”の世界ですね。
ポイント⑤ パワーと燃費性能が両立したエンジン
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パワーユニットに関しては2種類が用意され、ハイブリッド車は2.5ℓ、ガソリン車は2.0ℓとなっています。3代目のマイチェンで追加になった2.0ℓターボはカタログ落ちとなりましたが、これまで4WDでしか選択できなかったハイブリッド車がFFでも選べるようになったのは朗報です。
4代目は車重が軽くなっている(50~60kg)にも関わらず、ハイブリッドもガソリンもパワーアップしているので、RAV4譲りのダイレクトシフトCVTやステップ変速制御も加わり気持ちの良い走行フィールを味わえるはずです。
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ジャーナリストの試乗記では、エンジンパフォーマンスはどちらも必要にして十分、SUVとしては及第点が付いていますが、概ね車重のあるハイブリッド車の方がリニアで全体のバランスが良いとの評価です。
ポイント➅ 気になる価格はどうなったか!
前述しましたが、ハリアーの魅力の一つは「このクルマがこの金額で!」と思わせる絶妙の価格設定にもあると思います。新型もその精神は健在で、そのグレードを選ぶかどうかは別にしてスタートアップ価格は300万切りの299万円で設定されています。これだと”我が家の財務大臣”もクルマ選びの候補に認めてくれそう・・・というご家庭も多いのでは。
4代目ハリアーの価格は以下の通りとなっています。
ハリアーの魅力を存分に味わうには、中間グレードG以上が選択肢となってくるでしょうが、価格はポンッと42万円アップになり、トップグレードZだとそこからさらに52万円アップになってきます。バリューフォーマネーで考えると中間グレードGあたりが狙い目でしょうが、トップグレードZでも同門のレクサスRXと比べるとお買い得(尚且つ新しい)で、比べてみてもそれほどハリアーが劣るようには感じられません。
少々悩ましいのは、先代ハリアーはモデルライフの中で魅力的な追加グレードを設定してきましたので、4代目でも当然そういった展開は予測できます。納車半年待ちのデビュー直後に考えても仕方ないですけどね。
新型ハリアーは”日本発”のグローバルカーを目指す
エクステリアのところでフロントマスクのエンブレムが、専用のものから一般的なトヨタマークに変わったとお伝えしました。これは4代目ハリアーが従来のトヨペット店専売から、カローラ店やネッツ店など全トヨタ販売チャンネルで取り扱うことになったことも背景にあります。
今後ハリアーは日本全国どこのトヨタ店からも買うことができるわけですが、4代目はさらに海外でも販売されます。前述していますが、3代目は一部を除き国内専用モデルでした。しかし4代目は北米市場向けに開発、販売される「トヨタヴェンザ」のフルモデルチェンジ版として登場します。
ここでポイントになるのが従来のヴェンザは「いかにも・・・」なアメリカンミニバン的なルックのクルマでしたが、フルチェン後は4代目ハリアーをそのまま持ち込むことです。
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もちろんハリアー開発時点でヴェンザとの統合は計画されているわけですが、開発陣はあくまで北米市場の嗜好はさて置き、3代目ハリアー同様新型は日本的なセンスで造ることにしました。3代目が国内販売では好評を得た自信はあるにせよ、日本的なスペシャリティSUVのセンスが海外で通用するのか。これは大きなチャレンジです。
共通のプラットフォームを用いても、仕向け地別のボディを仕立てるのが現在、主な日本メーカーの戦略ですが、このハリアーの成果によっては大きな転換期を迎える、とは言い過ぎでしょうか。注目せずにはいられません。
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以上、トヨタハリアーの2020年フルモデルチェンジをご紹介しました。
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